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自分できる、人に行うハンドリフレクソロジー

time 2018/05/29

自分できる、人に行うハンドリフレクソロジー

ハンドリフレクソロジー専門学院のサイトはこちらから!

-言葉のいらないコミュニケーション術ー

初出:がんサポート 2010年11月号 「美容ジャーナリスト 山崎 多賀子の 生きる力が湧く「キレイ塾」」

著:山崎 多賀子(美容ジャーナリスト)

近頃人気の「ハンドリフレクソロジー」。所謂手へのマッサージですが、ベッドサイドでもでき、簡単なテクニックで、イライラや不安、不眠の解消として得られる効果が想像以上に大きいと注目されています。

そこで今回は、誰でもできるハンドリフレクソロジー講座を誌上公開!します。

がんという病気は、病気そのものや治療による体の負担のほか、精神的ストレスの重圧がのしかかり、むしろそっちの方のダメージが辛いという方も少なくありません。私も闘病中、平常心でいられたわけではありませんが、そのなかで、月に1度マッサージに通うことはとても楽しみでした。個室でかつらを脱ぎ、おしゃべりしながら、医療者とは別の、体のプロに身を委ねることで、この時間だけは心身ともに脱力できました。何より肌に触れてもらうのが心地よかったのです。
そんな経験から、治療がひと段落した私は、自分でもマッサージを習い始めました。そこで、出会ったのがハンドリフレクソロジーです。

「第二の脳」手を刺激し
副作用なく心身をリセット

手を軽くなでる、そんな簡単な動作で、自分を、人を癒すことができるハンドリフレクソロジーは、精神的な不安を抱える患者はもちろん、そのご家族の癒やしの手段としても、今注目を集めています。
そこで今回は私の師匠、ハンドリフレクソロジー専門学院の高須友絵さん(編注:現在は独立)に、患者さんが自分でできる、そして人に行うテクニックを教えていただきます。

その前に、そもそもハンドリフレクソロジーにはどのような効果があるのでしょう。
「手は感覚器官として特別な場所で、例えば先が尖ったもので、2点同時に触れた場合、1点か2点かを識別できる最短距離は指先で2ミリ、背中では70ミリというくらい飛び抜けてすぐれています。東洋医学的にも、手には体中のツボが集まっていることから『第2の脳』と呼ばれ、手の神経に優しい刺激を与えることで、体と心と脳のリラクゼーションが期待できるんです。手からの刺激は脳へ行き、そこから指令が出て各臓器の調整を促すので、同じツボを触っても、必要に応じて活性化にも、鎮静化にも働くのも利点ですね」
いつでもどこでもでき、副作用がなく、言葉がなくてもコミュニケーションが取れるなど、メリット大なのが魅力です。

左手からが鉄則!
超簡単な1アクションで熟睡へ導く


ではさっそく自分でできる超簡単テクニックを5パターン、下記に紹介します。セルフケアも、人に行う場合も、必ず左手から始めるのが鉄則です。
「人間の右脳は感覚やイメージ、左脳は理論的な思考に働きます。右脳は左手、左脳は右手とつながっていますから、右手から始めてしまうと、動作をまず頭で分析してしまいがちです。それより、先に右脳で”気持ちいい”と感覚から入ったほうが、身体が反応しやすくなるんです。
さらに目を閉じることで、感覚がより研ぎすまされて効果が期待できます」
1つの動作はゆっくり「ひと息」息を吐く間で行うのが基本。イライラや不安な時は呼吸が浅くなりますが、息を吐くことを意識すると呼吸が深くなり、リズムも一定し、気持ちが安定するとか。
「乳がんが見つかってから10年、ずっと不眠症に悩んでいた方に、お布団のなかで、指を1本ずつ握る(上記E)セルフケアをお教えしたところ、最初の左手が終わったころには寝てしまうようになった、と仰っていた方もいます」
もちろん個人差はあるけれど、副作用がないので、自宅、病院、どこででも落ち着かない時に、取り入れてみてください。

人に行うときは相手を
丸ごと受け止める気持ちで

つぎに、人に行うテクニックについてですが、相手がある場合、施術前に心がけておきたいことはありますか?
「1番意識してほしいのは、相手を自分の思い通りにしようとしないことです。受ける側も最初は緊張で、手や腕に力が入りがち。そのときに”やりにくいから、もっと力を抜いて”と思うと、それが相手に伝わり、ぎくしゃくしてしまいます。
そうではなく、”堅いな、力が入っているな。早く柔らかくなるといいね”と心の中で思いながら、ほぐしてあげることがとても大切です。気弱になっている方に「堅い』というと、ダメなの!?と不安をあおってしまうことにもなりかねません」
相手の状況を丸ごと受け入れ、心を込めて、という事が大切ですね。ところで、手を少し触るだけで、簡単に体の緊張が解けるの?と思う方もいるかと思いますが。
「たとえば緊張すると、人は肩に力が入るため、そこにつながる手首の関節に引っ張られて指がグーになっています。そこで、指プッシュ(下図のB-2)で打美の緊張を1つ筒緩めてあげると、手首の関節がゆるんで、すると肩の力も抜けるんです」
肩を揉むよりむしろ簡単かも。

施術中の会話は相手の
テンポに合わせること

さて、人に行うときも、呼吸は吐くことを意識して、1動作ひと吐き、が基本ですが、このときに会話はしないほうがいい?
「会話は大切なコミュニケーションですから、かまいません。ただ、コツがあって、最初は受ける方と同じテンポで話すことが大切なんです。相手に『同じペースの人だ』と思われると落ちつき心を開いてくれますから。イライラしている人に『そーだねー』とのんびり返事をしては、イライラを募らせることに(笑)。相手が早口のときはこちらも、『そうそう』とまずテンポを合わせてください。するとそのあと、こちらがゆっくり呼吸を始めると、今度は相手がこちらの呼吸に合わせるようになります」
これぞ”息が合う”ですね。なんだかカウンセリングにも似ていますね。
「一般のカウンセリングは、話を聞くことから始まりますが、ハンドリフレクソロジーは言葉がなくても、触れられていることで、わかり合えるのが利点です。
気持ちが萎えたり、もういいやと投げやりなとき、人は言葉を発したくなくなりますよね。そんなとき、言葉を引き出すのではなく、触れることで受け止めて、一緒だよ、って感覚を共有できるんです。
これはうちの生徒さんの話ですが、息子さんが不登校になり、理由を聞いても絶対に話してくれないのだそうです。そこでコミュニケーションを取る方法をとハンドリフレクソロジーを習いに来られたのですが、息子さんに”練習させて”と頼むと、男の子ですから最初は嫌がっていたものの、心地よかったのでしょう。繰り返すうちに『今日はやらないの?』と聞かれるようになり、とうとう学校へ行かない理由を話してくれ、いい方向へ行ったそうです」

施術中の会話は相手の
テンポに合わせること

日本人はスキンシップに慣れていませんから、照れもあり最初は緊張しますが、ハンドリフレクソロジーという名目なら手を握り合ってもおかしくない。これは立派なコミュニケーション法でもありますね。
「ベッドサイドや、机越しに行う、いわゆる”握手の距離”は安心の距離なんです。間に机があると、相手が飛び越えてきて何かされる心配もない。それ以上近づかれると、自分の領域に踏み込まれた感覚になりい、恐怖に感じますが、そういった点でもハンドリフレクソロジーは日本人にもおすすめです」
施術では最初に3分ほど、片手を両手で包み込むだけ(下図A-1)の時間を取りますが、近ごろはそれだけで泣き出してしまう方がいらっしゃるそうですね。
「ご本人も、何故涙が出るのかわからないとおっしゃるのですが帰る頃には皆さんすっきりされます。話を聞くと、心が疲れていたり、孤独感を感じている方が多いようです」
がん患者本人だけでなく、ご家族の心を休めるためにも、取り入れるといいですね。

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